1.方向性を強みと機会から考える
では、どのような中身にすべきか。選択した方向性に対する説明の仕方が採択に向けた重要な鍵になると思います。
そこで考え方を紹介します。まずは、大きな四角形を書き、その中心に縦と横の十字線を書きます。
左上には、自社・自分が得意とする分野や技術の中で、コロナによる影響で成長が期待できるものをあげます。これを「S×O」と呼びます。
右上には、自社・自分が得意とする分野や技術だが、コロナによる影響で成長が期待できなくなったものをあげます。これを「S×T」と呼びます。
左下には、コロナにより今後成長が期待できるが、今の自社・自分にはない設備や技術です。これを「W×O」と呼びます。
右下には、コロナによる影響で今後成長が期待できず、かつ、今の自社・自分にはない設備や技術です。ここを「W×T」と呼びます。
この枠の中に、現在、自社を取り巻いている要素や、今後、自社を発展させようと思う事柄をキーワードで落とし込んでいきます。
S×O | S×T |
W×O | W×T |
キーワードを落とし込んだら、次の作業に入ります。今回、事業再構築には「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」、「事業再編」という5つの方向性が示されていますが、左上の「S×O」には「新分野展開」、右上の「S×T」には「事業転換」、左下の「W×O」には「業種転換」が方向性のイメージになると思います。なお、「W×T」は「事業再編」ではありません。
ここで大事なことはどの枠を選択するかではなく、枠の中に根拠となる事実を的確に落とし込んでいるかということです。 つまり、自社の得意なこと「S」、苦手なこと「W」、チャンス「O」、ピンチ「T」を客観的に把握する分析力が問われます。
これは一見簡単で、誰にでもできそうですが、自分を鏡で見ても、自分の良さが分からないように、中小企業経営者は、上手く「S」が把握できないものです。
そうなると、望ましい方向に向かう全体戦略が組めなくなってしまうので、ここは第三者に相談しながらじっくり作ることを強くオススメします。誰かに相談することが恥ずかしいようでしたら、私が引き出しますので、遠慮無く、相談してください。
2.方向性を製品と市場から考える
さらに考え方を深掘りしていきます。同様に、大きな四角形を書き、その中心に縦と横の十字線を書きます。
左上が「既存製品×既存市場」、右上が「新規製品×既存市場」、左下が「既存製品×新規市場」、右下が「新規製品×新規市場」として、方向性を考えます。
既存製品×既存市場 | 新規製品×既存市場 |
既存製品×新規市場 | 新規製品×新規市場 |
この図で検討する場合、「新分野展開」が左上、「業種転換」が右上、「事業転換」と「業態転換」が左下、「事業再編」が右下というイメージになると思います。
この2つの図を組み合わせて考えると、自社を取り巻く経営環境が整理できるだけでなく、事業再構築の方向性も明確になります。
S×O 既存製品×既存市場 →「新分野展開」 | S×T 新規製品×既存市場 →「業種転換」 |
W×O 既存製品×新規市場 →「事業転換」「業態転換」 | 新規製品×新規市場 →「事業再編」 |
3.彼を知り己を知る
次は「お客様」の深掘りをしましょう。進もうとしている市場にどのようなお客様がいるのか。なぜお客様はそれを求めているのか。欲を言えば、コロナ発生前にはなかったが、コロナにより新たな需要が創出されたという流れが欲しいところです。
次は「ライバル」です。その市場には今どのようなライバルがいるのか。既にライバルがいて、全く同じ商品・サービスを提供しようとするならば、勝ち目はありません。ライバルが気づいていない、気づいていても実施できない、これらの理由を整理しましょう。
最後は、ライバルにできないことが、なぜ「自社」ではできるのか。
このように「お客様」「ライバル」「自社」の視点を、上の2つの表に加筆してください。
4.今日のまとめ
- どの領域を攻めるのか?どうしてそこに攻めることができるのか?この条件整理をしっかり行いましょう。
- 自慢大会に参加した気分で、自社を徹底的に自慢してください。
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